インドで私も考えた

先日インドへ行ってきました。
店舗で毎月配布しているシサム通信にも書きましたが、インドは、私が始めて一人旅で訪れた国。思い入れのある場所です。

 今回、今までやむをえない場合を除いて、意識して避けていたことを始めました。
 それは、道端でお金を乞う子どもに小銭を与えることです。
 インドを訪れたことがある方はよくご存知かと思いますが、インドの駅や、信号、交差点、ホテル周辺など人の集まる場所には、お金や物を乞うたくさんの人たちがいます。首都のニューデリーだけでも10万人以上がいるそうです。たいていは、女性であり、子どもであり、高齢者や障害を持った人たちです。
 いろいろな背景や事情を背負っているのだと思いますが、農村部で暮らしが成り立たないこと、都会に来てもなかなか仕事を得ることができないことが背景にあるようです。憔悴しきった子どもを抱っこした女性もいれば、か細い腕でご飯を食べるジェスチャーをしてお金を乞うおばーちゃん。ぼろぼろの服を着た生命力にあふれた子どもや、つかれ切った子ども。さまざまです。
今までは、極力、そうした人たちにお金を与えるのは避けていました。
 
 というのも、ホームレス問題に取り組むNGOスタッフから、安易にお金を与えることで、与えられる人の依存が始まり、チャンスがあっても自立した仕事に就くための努力が続かず、また物乞いに戻ってしまう、という話を聞いていたからです。その他にも、真偽は確かめたことはないですが、マフィアが、ホームレスの人たちをトラックの荷台にのせて、朝早くに乗り付け、定位置に配置し、同情を誘うために、小さな子をあてがったり、あえて子どもを障害者にしたり!!して、お金を集めたりしている場合もある、と聞いたこともあります。
 そんなことを考えて、一体どうすりゃいいんだ、目の前にいる、朝からほとんど何も食べていないかもしれない、この貧弱な子どもに、ちっちゃな子どもを抱っこしたやせこけたおかーさんに、ポケットに入ったちょっとの小銭を渡さないほうが本当にいいのか、といつもジレンマを感じていたのです。
 
 そんな場面で悩みながらも、今回は、自立した仕事につくチャンスが誰にもあるわけではないし、また今食いつないでいなければ、そんなチャンスに出会うこともできないじゃないか、という思いで、子どもを対象に、小銭があれば渡す。渡すことでたくさんの人が集まることがないような、良いタイミングであれば渡す、というように、できる限り、自然に行うことにしました。小銭を渡すことは、たいしたことではなく、自然の行いであるかのように。残念ながら、これでみんなを救えるわけではなし、状況が変わるわけでもないのだから、、、。
 ごく自然に。そうすることで、私自身は、気が楽になりました。果たしてこれがいいことなのか、確信はもてないし、自分の気が楽になる、ということはどういうことなのか、ある種の逃避なんじゃないかと思ったりもします。
 このことについて、ご意見のある人、是非聞かせて欲しいです。みるからに栄養失調の子どもからお金を乞われたら、あなたならどうしますか?

 私は、今まで以上に、フェアトレードの仕事をがんばろうと思います。誰もが、都会でそんな同情を買って生きていきたくないはず。都市問題は、農村の問題。自分の出自の農村で、自分の力で身近な素材と技術でものづくりをし、家族揃って暮らしていく、そんな試みを購入を通してサポートしていきたい。気を引き締めてやっていきます。
 そしてもう一つ。今度からはキレイな折り紙を持っていこうと思っています。今回も紙切れを使って子どもたちに折鶴を折ってあげようとしたら、大失敗。すっかり折り方を忘れてしまっていました。それでも目をきらきらさせてみていた子どもたち。お金とは別に、ストリートで出会う子どもたちとの大切な時間をもてる気がします。

 帰国してすぐに書いたシサム通信で予告したので、ご紹介しますね。
 今回の出張で注文してきたジュート家具の椅子や二人用ソファやスツールたち。
 現地名でサッカンダールという植物の茎と、ムッジと呼ばれる繊維の紐を使った家具で、インドの庶民の人たちの家具としてよく見かけるものです。以前に、特別に材料や仕事にこだわり、輸出クオリティーにしたものと出会い、ずーと仕入れるタイミングを計っていたものです。ムッジと呼ばれる紐がジュートに似てるので、比較的慣れ親しんだ、ジュート家具と名づけてしまいました。
 
 この家具は、フェアトレードNGOを通したものではありませんが、インドの中でも最貧州といわれる、ウッタルプラデーシュ州の村の伝統的な家内生産品で、村の人たちが、自分の家で工程を分業して作っているものです。その村に行くと、たくさんの家庭で、この家具を作る様子が見ることができるそうです。とっても軽く、手軽な家具で、これからのシサムでのお勧め。なんといっても、インドの特権階級向けではなく、庶民が日常使いしている気楽な家具というのがなんか良い感じでしょ。
 入荷をお楽しみに!

水野泰平